宮崎正浩、籾井まり 「生物多様性とCSR」

☆推薦者;山本利明(SIF-J運営委員・大阪電気通信大学教授) 生物多様性とCSR―企業・市民・政府の協働を考える

 2010年10月に名古屋で開催予定の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を目前にして、生物多様性への取り組みに関心が高まっている。

 著者は個人の研究者としてこの問題に取り組んできたが、COP10開催を契機に過去の研究成果をまとめ直したのが本書である。生物多様性については既に多くの書物があるが、本書の特色はCSRとの関連を意識して構成されていることである。

 はしがきには、「本書の目的は、企業がCSRとして生物多様性に取り組むため、社会の構成員としての企業、市民、政府がどのように協働するとよいかを明らかにすることである」とある。

 企業の具体的な取り組み事例が数多くカバーされているだけでなく、生物多様性問題を考えるための基礎的な事項も幅広く紹介されているので、資料的な価値も高い。著者両名は、国際環境NGOであるFoE Japan(Friends of the Earth Japan)の客員研究員としてその活動もサポートしているとのことである。

 なお、本書P80では、企業が生物多様性問題に取り組む一つのインセンティブとして「社会的責任投資(SRI)の対象となって資金調達が容易になる」とも指摘している。実際、「生物多様性企業応援ファンド」という投信が発売されるなどの動きもあるのでSRIとの関連でも生物多様性問題を考えていく必要がこれからは一層意識されるのではないだろうか。

 CSRと生物多様性に関心を持つ向きには安心して薦められるのが本書である。

生物多様性とCSR―企業・市民・政府の協働を考える 生物多様性とCSR―企業・市民・政府の協働を考える
(2010/05/01)
宮崎 正浩 籾井 まり
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(更新日 2010年10月4日)

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